浴室での惨劇

なんだか気分が滅入っておりました。

文学的には木の芽時、とでもいうのでしょうか。

だから彼からの電話を無視しました。

 

電話に出なかったからか、

LINEが入りました。

 

提案でした。

珍しいことです。

彼が「こんなこと、しませんか」などと行ってくるのは、

変です。

だから天候も暑いんだか寒いんだかわかりません。

 

彼の送ってきた文章は、いつもながら起承転結がしっかりしています。

起承転結なのはいいのですが、わたしはせっかちなんでしょうね、

「もっとはっきり云ってよね」と、たまに思ったりするのですが、

なので、今回はわたしが彼の文章を要約します。

 

「楓子を後ろ手に縛って、ついでに足首も縛る。

出来れば赤い腰ひもがいいけれど、無理なら赤いビニルテープ」

 

とにかくわたしを縛りたいようです。

緊縛ですね。

しばりあげたわたしを浴室にいれる。

横たわると、少し足を曲げることになるようです。

ここに水を入れる。

水責めみたいですが、これはただ何となくいれるだけで、

「運よくこのときに楓子の生理が始まるといいな」と書いてありました。

 

少しだけ浸した水が経血で赤く染まり、そこに髪を濡らした全裸の

女性が横たわる。つまりわたしです。

 

「それを上から写真に収める。どうですか?」

 

わたし思わず

 

変態!!

 

と叫びました。

どう考えても、凄い変態でしょ。

 

彼は何とも感じないのか「うん」と軽くうけながすだけ。

でもわたしも、映像が想像できました。

 

浴槽の水は冷たいのでしょうか。

手首と足首のテープはきつく肉に食い込むのでしょうか。

考えるだけで、ゾクゾクします。

 

「ね、楓子さんも変態なんだから」と云った彼の言葉は

間違ってはおりませんね。