もしかして…。感染したんですか…。
師匠からのメールが来なくなりました。
心配です。
なんどもわたしからメールしたのですが、
返事がありません。
こんなこと、これまでになかったことです。
だいたい、スマホとかパソコンには疎いのですから、
もしかしたら故障しただとか、扱い方がわからないだとか…。
でも、やっと昨日師匠からメールが届きました。
◇ ◇
楓子ちゃん、ごめんね。
メールしなかったから心配したでしょ。
もしかしたら感染症…と、考えたりしなかった。
そうなのよ。
わたしじゃなくて彼が、突然発熱して、
それで検査したら『妖精』なら、良いけど
陽性だったの。
たまたま運がよくって病院に入院できたのがもっけの幸いよ。
高齢者だから、良かったのかもしれないわ。
でも感染症だからお見舞いに行けないし、付き添うわけにもいかないし。
だからと云ってあなたに泣きついたりしたら, もっといやだわ。
もっけの幸いというなら、もうひとつ彼にはツキがあったみたいで、
発症しなかったの。
そうして病院からホテルに移ることになったから、
ネットでのやり取りができたのよ。
これでどれだけほっとしたことか。
ごめんね、楓子ちゃん。
こうなると、わたし、周りのことも他人のことも見えなくなったみたい。
彼のことだけ見ていて、先日、やっと退院。
陰性になったけれど、そうなの、わたしも濃厚接触者なのよ。
もちろんわたしもすぐに検査したけど、
わたしは陰性。
先日彼が退院した時にも検査してもらったら、やっぱり陰性。
もしかしたら、彼は「疑陽性」だったのかしらと、
疑ったりもしたの。
あなたに報告したら、心配してくれることはわかっていたから、
だから黙ってたのだけれど、
逆にずつと黙っていたらもっと心配されちゃうわよね。
また今度会ったときにいろいろ話すけど、
とにかく、ごめんなさいね。
わたしも彼も、いまは元気です。
早くみんなで食事できるようになるといいわね。
◇ ◇
鳥インフルエンザのウィルスが繁殖するのは、
渡り鳥の喉だったか、肛門だったのか。
わたしたちも、先生たちも、
喉とお尻は大事な大切な場所で、
感染症が席巻しているときは、喉とお尻封印されてしまいます。
「感染したときは、それはそれ。
僕らに与えられた運の形だからさ」と彼は、云います。
わたしも全くその通りだと思います。
感染症が「二人の愛」を分かつことはできません。
先生たちの関係を見ていて、再確認しました。