オシッコの話です。

 

師匠と話をしていて、

こんな話になりました。

 

「そういえばさ楓子さん、あなたって

女性が立ちションしてるところ、

見たことある?

 

ええっ、立ちションって、どういうことですか。

ふつうわたしたち便器に腰かけてしますよね。

 

意味がわかりません。

 

「彼がね、若い時…つまりずっと昔のこと、

あなたが生れる前だと思うけど、

阿蘇の方に旅行したんだって。

バスに乗っていたら突然、

彼のおばあさん位の女性が運転手に、

停めてって言ったんだって」

 

田舎のバスは停留所でなくても乗り降りしていい場合が

あるらしい。

「バスが停まって、扉が開くと、その女性とっとと降りて、

田んぼの畔にむかってお尻突き出したの。

彼が上から見ていたら、顔を上げた女性と目があってね、

その人、彼を見てほほ笑んだらしいの」

 

そこで師匠は一息ついた。

「おばあさん、いわゆる道でオシッコしたようで、

オシッコしながら彼と目があったから、

ああ助かったわ、とでもアイコンタクトしたのかしら」

 

いろいろ前振りはありましたが、

つまり女性も道端でおしっこができる

ということを師匠の彼は

云いたかったんでしょうね。

 

でも、あいにくと師匠は見たことがない。

もちろん体験したこともありません。

 

そう云われても、わたしだって知らないし。

そんなことができるなんて考えもしなかった。

 

「今度、ラブホで試してみるわ。

彼が見たまんまの恰好をして、どうなることか」

 

師匠はやる気です。

新種気鋭っていうのかな。

 

わっ、期待大です!

よーし。師匠ができたら。

わたしも、やってみよ。

 

でも、さつきのバスの話。

オシッコタイムに停車して、

待っている。

 

昔は運転手さんも、バスの乗客も

おおらかだったんですね。