彼の「ヘルペス」診察日記

★彼の日記の抜粋です。

 

 

12月22日

 

彼女が「ヘルペス」と診断された。

ということは、自分にうつっていて当然だから、

行こう…。

 

と、決めたけれど、

病院に行くのは10年ぶり。

ちょっとなあ。

嫌だなあ。

 

(このとき楓子からLINEが届く)

「もう、行ったの?」と聞いてきたので、あきらめた。

楓子のLINEがなければ、きっと行かなかったよな…。

 

さあ、女医さん。

話を聞いた後

「じゃあとりあえず、見ましょうか」

 

とりあえずちんちんを見る、ってことですかね。

診察台に案内されると60位の看護婦さんが

「ズボン脱いでパンツだけになって、

ここに横になってくださいね」

 

云われたままにすると、看護婦さんが戻ってきて

「はい。パンツ、下げて」

云われるままにパンツを下げた。

 

すると、おちんちんの上に白い紙をふわりとかぶせて、

「先生、もうすぐきますからね…」

 

★このあとのことは、先回書いたので省略しますが、

先生の診察の後、看護婦さんがやって来たところから、

続けます。彼にしてみれば、ちょっと恥ずかしい光景でしょうね。

 

 

看護婦さんがやって来た。

「はい。少しチクッとしますからね」

 

えっ。チクッとする。

何をするの。

あ、そうか。熟んでいる膿を出すって先生云ってたな…。

 

「痛いですか」。

心配になって聞いた。

「あり前です。針を刺すんだから」と云ったと思ったら、

途端に股間に痛みが走った。

チクッ、だと思ったら、大間違い。

その入口の小さな痛みは糸のようになって体の奥まで

ヒューっと伸びてきて、脳天まで突き刺さる。

 

怒髪が天を衝くのはわかります。

針の痛みも内側から脳天を突くようです。

 

それで終わればいい。

もう一度、今度はもう少し太い痛みが走る。

どうやら看護師さんが指で膿をつぶして押し出している様だ。

 

「だめだ。まだ熟み切っていないわ」

 

おいおい。

どういうことだ。

わたしは叫びを押し殺す。

 

楓子が激しい快楽に叫び声を上げたり、

我慢したりしているが、

この病室で大声で叫ぶわけにはいかない。

口を思い切り開けて、無音の音だけを出す。

空気を抜かないと、叫びを我慢できない。

顔を見られたらどれだけ恥ずかしいことか。

 

下半身は看護師さんの思わぬ力で押さえつけられているので、

上半身をねじって痛みに耐える。

ギャーっ。

叫びにならないわたしの心の叫び。

 

いやだ、いやだ。

もう嫌だ…。

 

身体が硬直しているわたしに看護師さんが云う。

「はい。終わりました。

薬はつけましたが、

蒸れてしまうのでバンドエイドははりませんよ」

 

 

★以下、省略します。

ただ彼のために弁明しておきますが、

こんな痛みに耐えたにもかかわらず、

その翌々日、ペニスの亀頭にできた赤い小さな湿疹がヘルペスかも、

と疑ってこのサディステックな看護師のいる病院に行ったのです。

 

えらい!

彼がここにいたら、おちんちんを嘗めて褒めてあげるのに、

残念です。

 

2回目の診察の結果です。

赤い湿疹もヘルペスではありませんでした。

「ここに傷跡があるわね」と云われたようです。

 

ははん。わたしの歯が当たった跡に違いないわ。